text&photo by kyosuke yamauchi(Minamisanriku)
 




南三陸の観光を支えていた民宿が少しずつ再建に向かっている。震災前、内湾を見下ろすように十数件もの民宿が軒を連ねていた南三陸町袖浜(そではま)地区。その中でもひと際大きな佇まいが印象的だった民宿「下道荘(したみちそう)」。二代目となる菅原由輝さんは三人兄弟の長男。高校を卒業後、調理師専門学校、仙台での料理修行を経て23歳で南三陸町に帰郷する。結婚し三人の子供を授かり順風満帆に思えた3月11日、家族代々受け継いできた民宿を巨大津波によって失う。被災した宿は一階部分が潰れ、運良く残った自宅もほとんどが浸水被害を受けた。そしておよそ1年後の2月17日、内湾を見下ろす高台に民宿「下道荘」がリニューアルオープンした。養殖業も営む下道荘では、自ら育てた四季折々の海の幸と新鮮な魚が味わえる。お米も自ら育てた米を使用する徹底ぶりだ。民宿と言えば、真心のこもった料理と新鮮な海の幸。無事再建した料理の評判は、やはり自然と我々の耳にも入ってくる。再建後、昔からの常連客が次々と訪れ「大変だったね、でもよく頑張ったね!」そう声をかけてくれた。その一言が今でも忘れられないという。「子供達をディズニーランドに連れて行ってあげたいんですが、なかなか仕事が休めなくて(笑)」。人手不足が深刻化している被災地では、労働の負担も避けては通れない問題となっている。笑顔絶やさず、海と共に生きる町。南三陸の魅力は彼らのように笑顔で生き抜く「人」そのものでもある。ふらり三陸を旅し、潮風を浴び、被災した町を歩き、素朴な笑顔と真心込めた抜群の海の幸を堪能して欲しい。次に訪れる時は必ず「おかえり」と言ってくれる南三陸ならではの優しさを感じて頂ける筈である。  






①民宿「下道荘」を経営する菅原由輝さん(33)とさやかさん(32)、萌香ちゃん(4)。
②高台から南三陸内湾を一望できる場所に再建した新宿舎。ここから見下ろす景色はまさに絶景。屋根瓦やサッシ・看板は震災以前の物を再利用している。
③木のぬくもりを感じるロビーは広々としていて民宿とは思えない開放感だ。
④自然光がたっぷりと差し込む和室。窓を開ければ心地良い潮風と絶景が楽しめる。
⑤6月〜8月まで楽しめる生ウニ。抜群の鮮度と殻付きの豪快な盛り付けで味わえる。