text&photo by kyosuke yamauchi(Minamisanriku)
 




海を覆うようにそびえ立つ山々も南三陸の魅力のひとつだ。被災した中心部から海を背にし国道398号線を走ること10分。童子山を目指し測道に入ると、昔ながらの静かな田園風景が広がる。所々に見える茅葺屋根、山々に囲まれた田園地帯、日本の伝統的な風景の中に一本の清流が流れている。その清流沿いに蒼い暖簾を掲げ静かに佇むお店がある。「そば処すがわら」北新地、銀座、日本橋、著名人も訪れる高級割烹料理店で修行を積んだ店主が造る料理の数々は「そば処」というよりも限りなく割烹に近い。定番料理の他はその日の材料で決める。漁師、女性、子供、県外から訪れる人々。味付けも個人個人に合わせ絶妙に変えながら提供する。震災後オープンし、瞬く間に人気店になった背景には、そんなきめ細やかな味付けと技術に裏打ちされた繊細なアイディアが光る。四季折々の創作メニューも、すべて一から手間をかけ提供される。手製のお蕎麦、上品な味付けの丼物、誰もが唸る季節の天ぷら、そして一品料理。訪れた人はどれを注文してもその繊細な味付けに魅了されるだろう。店主の菅原良成さんが料理の道に目覚め、高校卒業後に町を飛び出し向かったのは大阪の老舗割烹料理店。住み込みで働きながら10年間修業に明け暮れた。さらに修行の場を東京に移し5年に渡り腕を磨き上げる。修行を経て南三陸町に店舗を構えたのが2011年夏の事。帰郷し割烹料理店出店のため町内で営業場所を探していた矢先の大震災だった。震災後の混乱後ライフラインが回復した頃、やむなく実家を改装し営業を始める。それは割烹ではなく、地元の人達が気軽に楽しめる蕎麦屋としての出発。だがやがて繊細で丁寧な味付けは評判を呼び、二年足らずで南三陸の銘店となった。南三陸には海も山もある、すばらしい景色もある。心を込めた日本料理を通じこの土地の素晴らしさ、豊かさを沢山の人々に知って欲しい、それが彼の願いだ。  






①そば処すがわら店主「菅原良成さん(35)
②店舗のすぐ横を流れる清流。春になると桜が咲き誇る。清流の音を聞きながら頂く繊細な日本料理が時間を忘れさせてくれる。
③名物の「天ざる」。蕎麦もさることながら天ぷらが何とも絶品(1,100円)
④すがわら特製弁当。季節に応じて中身はお任せとなるが、すがわらの真骨頂を堪能できる(1,500円)。ぜひ宮城の地酒と一緒に楽しみたい。おちょこも5種類の中から好みの器が選べる。
⑤実家を改装した店内。縁側から柔らかな自然光が差し込む。

「そば処すがわら」
https://www.facebook.com/sobasugawara