text&photo by kyosuke yamauchi(Minamisanriku)
 




南三陸町歌津地区・泊浜(とまりはま)漁港。南三陸中心部を抜け北に走る事10分、国道を逸れ静かに木々が生い茂る坂道を下ると一面に大平洋が広がる。ここ歌津地区には、リアス式の海岸に沿うように小さな漁港が多く点在している。漁船「第十八金比羅丸(こんぴらまる)」。大津波から奇跡的に逃れたこの漁船を所有する高橋直哉さんは、両親と共に南三陸の特産品であるワカメや牡蠣、ホタテの養殖業を営んでいる。家族経営で営む養殖業にとって海は正に命そのもの。最盛期には早朝4時から漁に出かけ暗くなるまで働き、一年のほとんどを海と関わり共に生きる。そして彼らのような生産者の再建が南三陸の漁業再生へ大きく関わっている。震災後、再建が思う様に進まない中、家族を支えるため彼は瓦礫撤去のアルバイトで凌ぐ。そんな中様々な人々と関わるに連れ、自らも海の素晴らしさを再確認したと語る。毎日見ていた故郷の海、その豊かさを思い出させてくれたのは、震災後全国や海外から駆けつけてくれた漁業支援ボランティアの人々だった。せめてもの恩返しとして行った漁や船釣り体験、海の幸を使ったBBQで彼は思い出す。「その時の笑顔を見て津波で忘れかけていた南三陸の海の豊かさと楽しさを思い出しました。幼いころから海に親しみ、大好きだった海の良さを再確認したんです」。現在、金比羅丸では、漁船を利用した様々な「漁業体験」を行っている。手ぶらで本格的な釣りが楽しめる「舟釣り体験」、種付けから水揚までを体験できるホタテやワカメの「養殖体験」など。漁師ならではの体験を通じ、海そのものの素晴らしさを体感できる。特に自ら育てた海産物を食すのは体験者にとって格別な味となる。普段はできない生産者との体験を通じ、楽しく海の豊かさを知り、人と人が深く繋がって行く。前を向き、明るくひたむきに海を知って欲しいと願う若き漁師の活動を今後も見続けて行きたい。  






①柔らかな笑顔が印象的な高橋直哉さん(33) 自身の船「第十八金比羅丸」の前で。
②泊浜漁港から出港する金比羅丸。凪の時には南三陸特有のエメラルドグリーンの海が広がる。漁港から海底を覗くと海底のウニなどを眺める事ができるほど透明度が高い。
③5月〜11月まで行っている「手ぶらでフィッシング体験」では穏やかな海を眺めながら釣りが楽しめる。
④金比羅丸では南三陸特産のホタテの養殖も行っている。
⑤間もなく最盛期を迎える三陸ワカメ。金比羅丸では育てた海の幸をHPで購入する事ができる。

「金比羅丸ホームページ」
konpiramaru.main.jp