text&photo by kyosuke yamauchi(Minamisanriku)
 




復興の最終地点とはいったい何処なのだろう。南三陸町歌津地区、国道45号線を北へ走り、木々が生い茂る小さな坂を下ると、一斉に蒼蒼とした太平洋が顔を出す。リアス式の地形が形成する入り組んだ小さな海岸は、まるでプライベートビーチのような感覚さえ覚える。白い砂浜と透き通ったエメラルドブルーの海、長須賀(ながすか)海岸は南三陸を代表する海水浴場として、1シーズンで8万5千人もの海水浴客を呼び込む砂浜だった。その砂浜が今、巨大防潮堤の建設により消失しようとしている。ここ歌津地区で主にロールケーキを製造販売するパティエの三浦宮倫子さんは、子供の頃から親しむ風景が変貌していく様に危機感を覚える。「南三陸の魅力は海そのものにあるのに、巨大防潮堤を建設してしまったら、砂浜を失い、自然そのものが失われてしまう」。パティシエの他、もうひとつの家業である民宿には、被災直後たくさんの避難者が避難し数ヶ月を共に過ごした。あれから、彼女はどんな三年間を歩んできたのだろう。被災を通じ、様々な人々と出会い、故郷の風景をずっと見続けてきたのだろう。彼女は今、パティシエの傍ら様々な活動に携わっている。海水浴場の清掃活動にも参加し、若者達だけで作る「南三陸の未来を考える」コミュニティにも積極的に関わる。自分たちが愛してやまない自然や、故郷の事を語り合う場を作りたい。若い世代が様々な疑問を持ち、発信し合う場所が今求められているという。「大規模な復興工事が終わった時、その先にあるのは本当に私達が望んだ未来なのでしょうか。」震災前、自然の中で子供たちが伸び伸び暮らしていた南三陸の原風景、眩しい日差しの下で賑やかに活気づく海水浴場、懐かしい夏の海の匂いを思い出す。この場所には、海という自然と共存し営んできた歴史がある。人々は海に活かされ、様々な産業が発展し生活を支えてきた。それらが今、大きく変わろうとしているのかもしれない。  






①南三陸でオリジナルスイーツを製造販売する三浦宮倫子さん(29)
②長須賀海水浴場の清掃活動も定期的に行われている。2013年には震災後初めての「海開き」が実現し、沢山の海水浴客で賑わった。
③職場にて。主力商品の「絆ロール」は十数種類にもおよぶ大人気商品。
④彼女が携わる「長須賀海岸の砂浜を守る有志の会」の資料には防潮堤建設の詳細も記載。HPからダウンロードできる。
⑤現在の長須賀海岸、破壊されたコンクリートがそのままになっている。遅くてもH29年には防潮堤によって囲まれ、砂浜が姿を消すという。

「南三陸の未来を考える会」
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