地域で暮らす、地域で旅する、地域に学ぶ。ソライロ



text&photo by kyosuke yamauchi(Minamisanriku)
 




被災地再生へかける想いは、何も地元住民だけのものではない。どこまでも広がる太平洋、南三陸から陸続きにおよそ600キロ。古くから湯治の地として栄えた町から、ここ南三陸に移り住んだ女性がいる。伊豆半島屈指の観光地「熱海」、佐々木愛さんはこの春、都内の大学を卒業し南三陸で働いている。南三陸との出会いは三年前の3月11日、突如発生した大震災がきっかけだった。当時大学在学中だった彼女は、先輩が被災地でのボランティアに向かう事を知り、自らも夏期休暇を利用し被災地へ向かった。震災前、その存在すら知らなかったこの土地を選んだのも特別な理由はなく偶然そのものだった。初めてのボランティア、10日間の活動の最中、彼女は偶然かつての町並みを写した一枚の写真と出会う。瓦礫の山、破壊された道路、一瞬にして被災地となったかつての風景を想像し深い衝撃を受ける。そして大学三年の時、一年間の休学届けを提出、再び南三陸へ向かった。そうして長期的にボランティアとして携わり身を置くうちに、彼女は自らの無力感を痛感したという。「特別役に立つ技術も持ち合わせない学生の私ができることは限られていて、その事が本当に悔しくて。この町が好きだし、素敵な場所になったらいいなという想いがあるから、長期的にこの場所に身を置いて、この先身につけたものをこの町のために使いたい。ボランティアではなく、ここに住む事でいつでも助けられる位置にいたいんです」。そう語る彼女の意志は強く揺るぎない。「南三陸は熱海に似ているんです。人も優しいし、すごくいい所。海の幸も山の幸も美味しいし、何より星がすごくキレイ」。再生へ向かう南三陸町は、一体どんな町になるのだろう。どうか素敵な町になってほしい、そしてその中にずっと身を置いていたいと語ってくれた。  






①佐々木愛さん(23)。潮風が吹き抜けるかつての海水浴場跡地にて。
②好きな場所のひとつだという南三陸内湾の風景。広大な太平洋は、彼女の故郷である熱海と南三陸を結んでいる。
③現在の勤務先であるJA南三陸支店。未だプレハブでの営業を余儀なくされている。
④彼女が好きだと言う南三陸名産のホタテ貝は、甘みが強く肉厚な身が特徴。南三陸町ではリアス式の地形を活かした海産物の養殖業も盛んに行われている。
⑤彼女が初めて降り立った2011年8月当時の南三陸中心部。道路や橋が寸断され、手つかずの瓦礫が散乱している。