text&photo by kyosuke yamauchi(Minamisanriku)
 




南三陸歌津地区、気仙沼市へと繋がる国道45号線を海沿いに北上すると、やがて一目で分かる真っ赤な看板が顔を出す。中華料理「飛上(とびあげ)」、2013年12月にオープンして以来、ランチ時ともなると広い駐車場が埋め尽くされる程の人気店だ。一見ラーメン屋に似た外観に惹かれ暖簾をくぐると、若い従業員の威勢のいい声が飛び込んでくる。席に着くなり「何がオススメですか?」と尋ねるとキビキビとした心地よい対応で応えてくれる。昼時だけについついラーメンを頼みたくなるが、ここはそれ以外にも何を食べても思わず顔がほころぶワンランク上の本格中華が味わえる。大盛況のお店を切り盛りするのは、若き中華料理人。地元の高校を卒業後、調理師専門学校を経て仙台でも指折りの一流ホテルで中華の修行に明け暮れた。10年の歳月が過ぎた頃、あの震災が起る。そして生まれ育った古郷の被災を目の当たりにし地元で店を構える決心をする。だが道のりはなかなか険しかった。多忙を極める一流ホテルでの修行もすぐに手を離れるわけにもいかない、被災した地元の瓦礫撤去や道路整備、店舗を構える場所の模索。とにかく身内が営む延縄漁を手伝いながら準備をした。そして帰郷からおよそ1年、震災から2年9ヶ月後ようやく開店に至る。ずっと抱いていた想いがあった「ホテルで培った中華の技術で、地元の人達に美味しくて安値な本格中華を提供したい」。ラーメンも提供する決心をしたのは、お子様からお年寄りまで地元にも親しみやすいメニューだから。そのため、飛上のラーメンはじっくりと手をかけ、誰でも親しみやすい優しい味わいに仕上がっている。ホテルの料理人が作る安くて美味しい本格中華のお店。満腹になった人達がこぞって「美味しかった!」と声をかけ店を後にする姿が印象的だった。今、才能ある若者達がこうして地元を盛り上げようとしている。やがて来る南三陸の未来は、なかなか捨てたものではない。  






①中華屋「飛上(とびあげ)」を営む高橋誠一さん(30)。
②一日限定30食というみそラーメンはじっくり煮込んだ鶏白湯と仙台味噌が調和したマイルドな味わい。最後まで飲み干せるあっさりスープが特徴。
③南三陸町中心部から車でおよそ15分。国道45号線沿いに建つ真っ赤な看板が目印。
④麺類にぜひ追加してほしい半チャーハンは、ホテル仕込みの本格炒飯。思わず顔がほころぶ。もちろん単品でも注文できる。
⑤店内はカウンターとテーブル席、その他座敷も完備。夜の部では単品料理とお酒も楽しめる。

中華屋「飛上」
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