text&photo by kyosuke yamauchi(Minamisanriku)
 




年間20万人以上を集客する被災地一の仮設商店街『南三陸さんさん商店街』。ここでは約30店舗もの個性溢れる商店が軒を連ねている。観光客の目玉となっているのは新鮮な海の幸を提供する港町ならではの店舗だ。中でも鮮魚や水産加工品、蒲鉾を販売する『マルセン』は地元に特化した商品の豊富さでバツグンの人気を誇っている。首藤史明さんは、ここで働く従業員。南三陸で生まれ育ち、高校大学を経て宮城県内を転々とする営業職を経験。震災の数年前に故郷南三陸に戻り、自動車販売会社に就職した。そんな中、あの震災が起る。運良く避難したが努めていた会社は壊滅。やがて町の観光協会の臨時職員となる。震災後の混乱も収まらぬ中、担当したのは物販と当時から毎月行われている「南三陸福興市」の事務局。兎にも角にも当時はイベントの嵐、めまぐるしく変わる状況の中、汗を流しながら笑顔で働く彼の姿が、今でも印象的だ。「大学の頃から、イベントや物産に携わる仕事がしたかったんです。とにかく人と出会う事が楽しくて。」持ち前の人懐っこい笑顔が印象的だ。昔は都会に憧れ、田舎を愛する事ができなかった。地元の良さも何一つ分からなかった。だがその意識を180度変えたのが、震災後に出会ったたくさんの人々だった。海と山に囲まれた港町、そこで育つ驚くほど上質な海の幸。南三陸という故郷の良さを、外からの人々の目を通して再確認したという。そして数年後、彼は違う形で「人」と関わる仕事に就く。自分が携わる事で、南三陸の良さを沢山の人達に知ってもらいたい。そんな想いが沸々と沸いてきた。そして辿りついたのが、地元の海産物を販売する現在の会社だ。人と関わる仕事なら、地元以外でも選択肢はある。だがどうせ働くなら、死ぬまで故郷と共に生き、この素晴らしさを伝えていきたいと語る。一度は故郷を離れ、外の世界を経験し、やがて戻ってくる若者達。俯瞰して見つめることで、故郷の良さも足りなさも自然と見えてくる。傷ついた町の再生にとって、こうした若者達が担う役割は大きい。  






①マルセンで働く首藤史明さん(39)店舗がある南三陸さんさん商店街前にて
②仮設商店街の角地にある店舗では旬の海産物の他、自社製造の水産加工品や蒲鉾を販売している。
③店内ではその日に作られるお惣菜も販売している。特に人気なのが揚げたての蒲鉾。
④首藤さんが製造を担当するゆでダコは、もはや南三陸の名物。スライスしお刺身で頂くのがたまらない。
⑤イベント係もこなす。全国各地に足を運び、売り子として店頭に立つ日々